株式会社設立・相続などの登記や建設業許可・産業廃棄物収集運搬業・古物商などの許認可に関するお役立ち知識をご紹介します。
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相続に関して「家族では遺産をどのように分けるかが決まっていて、揉めることはないので特に何もしなくていいですよね?」とのご相談がよくあります。
あらかじめ話し合いができているのは大変いいことですし、このような場合は家族の気が後に変わってトラブルになる可能性も少ないと思います。
しかしながら、次のようなトラブルになりかねないのです。
夫(75歳) 財産は自宅不動産4000万円と預貯金1500万円、生命保険1000万円(受取人は妻)
妻(70歳)
長男(32歳) 妻と子供あり。両親と同居
長女(30歳) 夫と子供あり。長女の夫名義の自宅あり
上記のような場合で夫が亡くなった場合には
自宅不動産は長男が、生命保険は妻が、預貯金は長女が相続すると決められているとします。
もし夫が亡くなった時に妻が認知症になった場合、上記のような分割協議をすることはできなくなってしまいます。
仮に事前に上記内容の合意を文書で残していても法律的に無効です。
まず、認知症になると意思能力がないと遺産分割協議ができないので後見人をつける必要があります。
家庭裁判所に後見人を選んでもらう手続きや定期的な家庭裁判所に報告をしなければならず、その負担があります。
また後見人は妻の法定相続分は確保する分割協議でなければ同意してくれません。
さらに、保険は遺産にならないので分割協議の対象となりません。
そうすると自宅不動産4000万円と預貯金1500万円の妻の法定相続分の2分の1の2750万円分の遺産を取得する分割協議でなければなりません。
これは当初予定していた内容と大きく異なります。
相続人が認知症になるとこのように大きなデメリットがあります。
しかし、上記内容の遺言を作成しておけば、そのように遺産を取得することがで来ます。
したがって、家族で遺産をどう分けるかが決まっていても遺言の作成を勧めします。
土地も建物も親名義だったが、新しく家を立て直すにあたり子供名義で建物を建てると言うことがよくあります。
この場合に土地の名義を子供に変えたほうがいいのかと言うご相談があります。
名義を変えることにはメリット、デメリットがあります。
メリット
・親が高齢になり認知症になった場合でも住宅ローンの借り換えや事業をしている場合の担保提供、売却等が出来る。
親が認知症になると上記手続きが非常に難しくなります。
・親が亡くなった場合に土地の相続手続きが不要になる。
デメリット
・贈与税、相続税などの税金の問題がある。
・相続による名義変更に比べて登記費用が高くなる場合がある。
生前贈与して子供の名義に変えた方がいいかどうかはケースバイケースです。
例えば相続人が子供の2人だけで、法定相続分通りに2分の1ずつ相続したいが、遺産が土地だけしかなく、その土地には相続人が居住しており、土地を売ってお金で分けることができない、あるいは共有にしたくないというケースがあります。
この様なケースでは代償分割という方法が考えられます。
これは不動産を取得する相続人が、他の相続人に自分のお金から代償金を支払うという方法です。
具体的には、1000万円の不動産があるとして、相続人Aが不動産の全部を相続し、Aは代償金として自分のお金で法定相続分の半分である500万円をBに支払うという内容です。
会社の本社建物は会社名義だが敷地は代表者個人名義ということが少なからずあります。
このような場合、代表者が高齢になり、認知症になった場合、不動産を売却したり、担保提供できなくなり融資を受けられず事業に支障をきたすおそれがあります。
これを避けるには敷地を会社名義にするか、次の代表者の名義にしておくことをお勧めします。
売買という方法もありますが、売買代金が必要となりますので、売買代金の不要な次のような方法も選択肢としてあります。
・生前贈与
次の代表者が代表者の子供の場合、相続時精算課税制度を利用して贈与税を課税されることなく、贈与によって名義変更をすることが出来ます。
・民事信託
また、「民事信託」で会社や次の代表者の名義に変えることも可能です。
あまり聞きなれない民事信託という制度ですが、詳細はまた別のコラムで触れますが、簡単に言うと財産を「預ける」制度です。
事業承継、相続対策の一環として、個人資産と事業用資産の整理をお勧めします。
遺言書というと相続人がモメている時には作った方が良いが、相続人の間であらかじめどのように財産を取得するかを話し合って皆納得している場合には作らなくていいと思われている方が多いです。
しかしながら、夫が亡くなり相続人である高齢の妻が認知症になっている場合、相続登記が非常に面倒になります。
相続人が認知症である場合、遺産分割協議が出来ないため、相続人の財産を管理する成年後見人を選任してもらう手続きを家庭裁判所にしなければなりません。
まず、後見人を選任してもらう手続きで数か月かかり、選任手続を専門家に依頼した場合、費用も掛かるというデメリットがあります。
また、後見はいったん始まると被後見人が死亡するまで終わらせることが出来ず、定期的に家庭裁判所に財産状況等の報告が必要となります。
また、後見人が選任された場合、後見人は被後見人の法定相続分は取得する分割内容でないと同意してくれません。
また、相続人の間であらかじめ遺産分割の内容を決めていたとしても、後見人はその内容通りに分割協議をしてくれるとは限りません。
このような場合に備えて、相続人の間であらかじめ遺産分割の内容が決まっている場合には、その内容を遺言書として残すことをお勧めしております。
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