「父が亡くなり母と私が相続人だが私が母の後見人になっている場合、私だけで遺産分割協議はできる?」といったご相談があります。
成年後見人は成年被後見人に代わって遺産分割協議を含めた契約や法律行為ができるので、上記の場合、後見人だけで遺産分割協議ができるとも思えます。
しかしながら、もしこのケースで後見人だけで遺産分割協議ができるとなると、後見人が自分の利益のために「すべての財産を子供が相続する」といった分割協議をするおそれがあります。
このように後見人としての立場と自らが相続人であるとの立場の2つの立場があると一方の利益になることは一方の不利益になってしまいます。
このような事を法律的に「利益相反」といいます。
「あちらを立てれば、こちらが立たず」といったところです。
このように利益相反となる場合は、一人だけで遺産分割協議をすることが出来ません。
では遺産分割協議が決して出来ないかというとそうではなく、「特別代理人」を家庭裁判所で選任してもらい特別代理人が成年被後見人に代わって成年後見人と遺産分割協議をすることになります。
簡単にいうと特別代理人が遺産分割協議の時だけ一時的に母の代理人になるのでる。
遺産分割協議が終われば、特別代理人の代理権はなくなり成年後見人の代理権が復活します。
例えるなら、ワンポイントリリーフのようなものです。